半グレのK①「Kはなぜ半グレたのか?」
反抗期だったのだろうか?
急に冷めた目で物事を見るようになった。
勉強や学校や友達。
全てが色褪せてモノクロになっていく。
そんな中学生のある日、
友達と二人で20km離れたプールまで泳ぎに行った。
行き帰りはもちろん自転車。
変速なんてない、いわゆるママチャリ。
アップダウン激しく交通量が多い道で何回も休憩をしながらプールに着いた。
プールでは思いっきり遊んだ。
Kは泳げないので息継ぎの練習を頑張った。
そして迎えた帰り道。
長い下り坂が多かった。
天気予報はまもなく雨。
疲れていたが早く帰りたかった。
ブレーキを緩めて下り坂を疾走する。
スピードが出てとても気分が良かった。
後ろから車が来たのでKはさらに道路左側に寄った。
結構砂を被った道だった。
ハンドルが砂に取られてガタガタ震えた。
覚えているのはそこまで。
気がついたら道路に仰向けに倒れていた。
あちこち擦りむいているし血が出ている。
膝が動かない。すごく痛い。
友達を呼んだような気がする。
先に走っていた友達はKを見てオロオロした。
仰向けに倒れていたKを見て2台の車が停車した。
そのうち1台の車の運転手が降りてきて声を掛けた。
「…?」
Kはその内容を覚えていない。
友達が状況を説明た後、その男性と友達に運ばれて道路から運ばれた。
その男性の車の中でぼんやり天井を見上げるK。
Kの家族に連絡してもらい、両親が車で駆けつけた。
救急車は呼ばずに病院に両親の車で行くことになった。
男性に挨拶できたかどうかも記憶にない。
病院で怪我の手当をした。
左膝を縫った。右膝と右肘は擦り傷だった。
しばらく左膝が不自由で階段を降りるのが不便だった。
友達に手を引いてもらった。
自転車を修理に出したら、
「よくこんなに曲げましたね!大丈夫でした?」
と心配された。
もちろん大丈夫じゃない。結構な怪我をした。
フロントフォークがぐんにゃりと曲がっていたのだ。
その後一ヶ月くらいは自転車に乗れなかった。
不自由だが、恐怖体験が頭を過るのだ。
嫌な記憶というものは残ってしまうもの。
トホホと思いながら徒歩で移動した。
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