[京都徒然(つれづれ)⑫] 風景から甦(よみがえ)る記憶

KOBA

※「京都徒然(つれづれ)」は、わたしが京都にいるときに見たこと、感じたことをお伝えするコラムです。

 ( 徒然(つれづれ)…何もすることがなくぼんやりしていること)

 

私は、京都にいるときは、

特に行き先も決めずに京都の街を歩きます。

 

先日、昔 通(かよ)っていた大学の中を歩き、

自分が座(すわ)っていた教室の前を歩いたとき、

突然、"maigre" というフランス語が、頭に浮かびました。

 

それは、

仏作文(ふつさくぶん)の授業で、

私が提出(ていしゅつ)した作文に、
フランス人の先生が赤字で書いた一言です。

もちろん、私は、この言葉の意味がわからず

帰って辞書で調べたら

「やせた」という意味が出ていました。

 

もちろん、評価が低いのはわかっていましたが、

なるほど、

さすが、フランス語では、

文章に「やせる」という言葉を使うんだ、と妙に感心しました。

一言で、私の作文を言い当ててます(笑)。

(今、あらためて調べると、

 maigreという言葉には「貧弱(ひんじゃく)」という意味もありますので、

 どちらかというと、そちらの意味だったのだと思いますが、

 私には「やせた」文章という言葉が新鮮(しんせん)で強烈(きょうれつ)でした。)

 

それだけの話ですが、

なぜ

50年近くたった今、

昔の教室の前でそれを突然(とつぜん)思い出すのでしょう。

 

風景には、記憶を蘇(よみがえ)らせる力があるのだと思います。

 

昔 暮らした街、昔 通った学校、昔 歩いた散歩道、

風景はいつも何かを思い出させます。

もちろん、いいことも、悪いことも。

 

そして、その時の自分と今の自分の間にある時間に思う時、

人の人生というものも捨てたものではない、と思います。

なぜなら,
悪いこと、悔やまれることも

すでにどうしようもない過去にあり、

しかも、それが遠い過去であることで、

ちょっとだけ懐(なつ)かしいものになるからです。

これは年をとった人間の特権(とっけん)です。

 

 

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KOBA
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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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