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Cafetalk Tutor's Column

Tutor Fukumaru 's Column

日本の笛にゆかりの北陸

Jan 5, 2024

お正月から災害や事故が続き、落ち着かない毎日です。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
 
 
北陸は伝統音楽・楽器にゆかりの深い地域です。
たとえば、歌舞伎の《勧進帳(かんじんちょう)》は、金沢市の南にある安宅の関(あたかのせき)が舞台です。


輪島市は漆(うるし)で有名ですが、日本の笛に漆は必須の素材です。
 
漆は、防腐、防水、防虫の効果に加え、硬化する性質と木材の水分を調節する性質があるので、楽器を長く良い状態に保つことができます。また、内側に漆を塗るとなめらかになり、音質が安定するという研究結果もあるそうです。
 
雅楽(ががく)の笛には篳篥(ひちりき)や竜笛(りゅうてき)がありますが、いずれも漆で仕上げられています。尺八や篠笛は一見して分かりませんが、内部や吹き口に漆が使われています。
 
 
また、珠洲市の海沿いにある須須神社(すずじんじゃ)には、源義経が奉納したといわれる「蝉折の笛(せみおれのふえ)」が保存されています。
 
蝉折の笛は、雅楽で使われる竜笛(りゅうてき)という横笛です。上の写真は、蝉折の笛ではありませんが、現在の雅楽で使われている竜笛です。
 
義経が兄の頼朝に追われて逃げる途中、須須神社で祈ったところ海が静まり、感謝の意を込めてこの蝉折の笛を須須神社にささげたとのことです。
 
 
須須神社とその周辺もかなりの被害を受けており、まだ全容が分からないようです。
 
住民の方たちの命が最優先なのは当然で、文化財の安否はまだ先のことだと思いますが、突然の大きな災害により、長い間に培われてきた文化が失われつつあることに深い喪失感を覚えます。
 
 
まずは被災された方々のご健康と生活が大切です。
一日も早く地震が治まり、安心して生活できる日々が戻りますように。

This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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