恋に落ちた経緯を、僕は詳しく覚えていない。
記憶力が悪いのか、それとも時間の中で忘れてしまったのかはわからない。
でも、これまで思い出さなかったということは、
その記憶が「必要ない」とどこかで判断されていたのだろうか?
彼女は自分の家のことをあまり話さなかった。
父親は単身赴任らしく、母親は厳しくて門限を絶対に守らなければならないらしい。
でも、彼女が話したがらないなら、それでいいやと思った。
僕も自分の家庭のことを進んで話したいとは思わなかったし、
彼女も同じような気持ちだったのかもしれない。
そんな彼女と僕の間に起きた、ひとつの出来事。
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