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第11回:その「訂正ノート」,効果ありますか|“写して終わり”にしない復習法

じゅんじ / John

テストが返ってきたあと,
学校や塾からこう言われることがあります。

「間違えた問題は,訂正ノートに直しておきましょう」

学校や塾によっては,
間違い直しノート」と呼ばれることもあります。
自分が間違えた問題をもう一度解き,
正しい答えを書き直すためのノートです。

もちろん,間違いをそのままにしないことは大切です。

親としても,
「よかった。ちゃんと直す仕組みがあるんだな。」
と,ひとまず安心します。

そして子どもも,ノートに問題を書きます。
赤で答えを書きます。
解説も写します。

見た目は,なかなか立派です。
ページも埋まっていますし,
赤ペンも活躍しています。

家庭学習の風景としては,
平和に終わりそうな気がしますよね。

ところが,
次のテストや実力テストで,
また同じような問題を間違えてしまう。
親の心の中には,静かにこの言葉が浮かびます。

「えー,あれ訂正ノートに書いた問題と似てない?」

でも,ここでそれを言ったら,
だいたい空気は重くなります。
子どもはノートを見なくなり,
親の顔色を見始めます。

そして始まるのが,家庭学習名物,
「訂正ノート作っただけ」問題です。

言いたくなる気持ちは痛いほど分かります。

ただ,ここで大切なのは,
訂正ノートを作ったかどうかだけを見ることではありません。

そのノートが,
次の一問に使える形になっているかどうか
です。

■ 訂正ノートが“写経”になるとき

正しい答えを写すこと自体は悪くありません。
でも,正しい答えを写して終わりなら,
効果が出にくくなってしまいます。

少し強い言い方をすれば,
ただの「写経」になってしまうことがあるのです。

きれいに写した。
赤で直した。
解説も書いた。

それでも次に同じような問題で間違えるのは,
子どもがサボっていたからではありません。

ノートは作った。
でも,考え方までは直っていなかった。

ここに,訂正ノートの大きなズレがあります。

大切なのは,訂正ノートを「作ること」
自体を目標にしないことです。

なぜそのノートを書くのか。
あとで何を見るために残すのか。
次に同じミスをしないために,どこを見直すのか。

ここが分かっていると,ノートの書き方は変わります。

ちょうど今は,最初の定期テストの時期です。
始めるには,かなり良いタイミングです。

学校や塾から「訂正ノートを作りなさい」と
言われていない場合でも,
できれば今から作ってみてください。

最初のテストから記録を残しておくと,
あとで見返した時に,
「自分はこういうところでよくつまずくんだな。」
というクセが見えてきます。

1回分では小さな記録です。

でも,テストのたびに積み重ねていくと,
それは少しずつ,
市販の問題集にはない,
自分専用の問題集になっていきます。

市販の問題集は,多くの人に向けて作られた教材です。

一方,訂正ノートには,
自分が実際に間違えた問題,
自分のクセ,
自分の弱点が残ります。


いわば,自分専用に組み立てた問題集です。

これほど自分に合った教材は,なかなかありません。

■ 「同じ問題はもう出ない」は本当か

訂正ノートについて,子どもから
こんな声が出ることがあります。

「意味がない。だって,同じ問題はもう出ないから。」

たしかに,まったく同じ問題はもう出ないかもしれません。

でも,似たような問題は形を変えて
実力テストや入試でまた出てきます。

そして何より,
その問題で使った「考え方の手順」は,
将来も必ず使います。

訂正ノートの目的は,
過去の問題をきれいに片づけることではありません。

未来の自分が,同じ落とし穴に落ちないための
作戦を立てることです。

だからこそ,ただ答えを写すだけでは足りません。

どこで間違えたのか。
なぜ間違えたのか。
次に似た問題が出たら,何に気をつけるのか。

この3つを残すために,訂正ノートを作るのです。

■ 左には「問題」,右には「間違えた答えと正解」を書く

ノートは,中学生でも高校生でも,
3年間ずっと使い続けるつもりで用意します。

上部には,
「2026年5月28日 1学期中間テスト」
のように,日付とテスト名を書きます。

そして,問題には No.1 から番号を振っていきます。

使い方の基本は,
1ページの真ん中に縦線を引くこと
です。

ただし,1ページを左右に分けると
書くスペースが小さくなる場合は,
見開きの左右のページで分けても構いません。

もちろん,これは数学だけの話ではありません。
英語,国語,理科,社会も含めて,
5教科すべてで作ることをおすすめします。
つまり,ノートを5冊用意してください。


教科ごとに,単語の覚え違い,設問の読み違い,
用語の混同,資料の読み取りミスなど,
違うクセが見えてきます。

左側には,問題を書きます。
図がある問題は,手書きで写してもよいですし,
コピーして貼っても構いません。
あとで見直した時に,
どんな問題だったのかが分かれば十分です。

では,右側には何を書くのでしょうか。

ここが大切です。

右側には,
正しい答えだけではなく,
まず自分が間違えた答えを書きます。
式や途中の考え方も,できるだけそのまま残します。

なぜなら,訂正ノートで本当に見たいのは正解ではなく,
自分がどう間違えたのか
というエラーデータだからです。

どこで符号を落としたのか。
どの条件を読み飛ばしたのか。
どんな思い込みをしたのか。

これを消しゴムで消してしまうと,
次に何を気をつければよいのかが
見えなくなってしまいます。


その下に,正しい答えを書き加えます。

でも,そこで終わってしまうと,まだ少し弱いです。

■ 吹き出しで「未来の自分への一言」を書く

仕上げとして,間違いのポイントを一言で残します。
おすすめは,漫画のセリフのように,
吹き出しで書いておくことです。
パッと目に入る形にすることで,
未来の自分への強いメモになります。

ただし,ここで熱心な親御さんほど
注意していただきたいポイントがあります。

よくあるのが,次のような書き方です。

×「問題文をしっかり読む」
×「計算を気をつける」
×「次はミスしない」

気持ちは分かります。
でも,これは
実際の行動を変える役には立ちにくいです。

なぜなら,その時点でも本人は,
「しっかり読んだつもり」
「気をつけていたつもり」
だったはずだからです。

大切なのは,次の行動が
パッとイメージできる一言にすることです。

〇「条件部分には線を引きながら読む」
〇「両辺を何倍かしたら,その数を必ず書く」
〇「単位をそろえてから式を立てる」
〇「かっこを外す前に,外の符号を指差し確認する」

このように書いておくと,
次に同じような問題に出会った時,
子どもたちの実際の手の動きが変わります。

訂正ノートは反省文を書く場所ではありません。

次の一問で同じミスを防ぐための,
作戦を練る場所
なのです。

■ まずは1問から始める

伸びる家庭では,訂正ノートを作って終わりにしません。
きれいに書けているかどうかだけでなく,
次に見直した時に「行動を変える作戦」が
書かれているかを見ています。

とはいえ,これらを最初から完璧にやる必要はありません。

まずは今回のテスト直しのうち,1問だけで構いません。

左側に問題を書く。

右側に,自分の間違えた答えと正しい答えを書く。
吹き出しで,具体的な「次の行動」を一言書く。

これだけで,ただの写し直しとはまったく違う,
価値ある一歩になります。

同じ問題は出ないかもしれません。
でも,同じ考え方を使う場面は必ずやってきます。

訂正ノートは,過去のミスを責めるためのものではありません。
未来の得点を増やすための,自分専用の問題集です。

ただ,実際には,

「どの問題を訂正ノートに入れればよいのか」

「これはうっかりミスなのか,理解不足なのか」
「どこまで親が見ればよいのか」

で迷うことも多いと思います。

そこを一人で判断するのは,意外と難しいものです。

私のレッスンでは,

お子さんのテストやノートを一緒に見ながら,
どの問題を優先して直すべきか,
どこに学習のズレがあるのかを整理します。

訂正ノートを作る目的は,

きれいなノートを完成させることではありません。

次のテストで,

同じ落とし穴に落ちないようにすることです。

「訂正ノートを作っているのに伸びない」

「テスト直しをしているのに,同じようなミスをくり返す」
「親として,どこを見ればよいのか分からない」

そう感じている方は,

まずは一度,お子さんのノートを一緒に見直してみませんか。

最初の一歩は,

全部を変えることではありません。

今のお子さんにとって,

次の点数につながる1問を見つけることです。

家庭学習でよく起こるつまずきについて,
こちらもあわせてご覧ください。

■ 子どもが答えやすくなる問いかけについて
第10回:「分かった?」では分からない|思考を止めない問いかけ

■ 点数帯別に,訂正ノートに選ぶべき問題について
第12回:訂正ノートは全部直さなくていい|点につながる問題の選び方

※次回公開予定

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This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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