私がレッスンでいちばん大切にしていること。それは、「話をよく聞くこと」と「褒めること」です。
これは中学校の教員時代から、ずっと変わらない私の軸です。
数か月前、外国からの観光客が多い観光地の外資系ホテルで、レストランのお手伝いをしました。学校の外で働くのは、生まれて初めての飲食店の仕事です。担当は朝のビュッフェ。お客さまの9割は海外の方で、ほとんどがヨーロッパから、ときどきアメリカ、台湾から。私は食器を下げる係でした。
ところが、これが想像以上の重労働。食器はずっしり重く、トレイに積んで運ぶだけで体力がどんどん削られていきます。気づけば腕はあざだらけ。「私には無理かもしれない」と心が折れかけていました。
そんなとき、「お皿をお下げしてもいいですか?」と声をかけた私に、ヨーロッパから来た女性のお客さまが、こう言ってくださったのです。
「あなたの英語のアクセント、すごくきれいね」
短い定型の英語を、ただ口にしただけ。それなのに、その一言で気持ちがふっと軽くなって、最後まで仕事をやり切ることができました。褒め言葉には、こんなにも人を支える力があるのだと、身をもって知りました。
子どもを褒めて育てることの大切さは、よく言われます。でも、褒められてうれしいのは、大人も同じです。そして、うれしい気持ちは「次もやってみよう」という意欲につながります。学びの場ではなおさらです。
だから私のレッスンでは、まず相手の頑張りや良いところを見つけて、言葉にして伝えます。そして、話をじっくり聞きます。できるだけ受講生さんご自身にたくさん話していただけるように、問いかけや進め方も工夫しています。
講師の技術も、学ぶ方の意欲ももちろん大切です。ですが、「ちゃんと聞いてもらえる」「頑張りを認めてもらえる」。この2つがそろったとき、学ぶ人は大きく前へ進んでいく。私はそう信じています。
あの日の一言を、私は忘れません。今度は私が、レッスンの中で誰かにそんな一言を届けられたらうれしいです。
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