バッハ

中村勇太

現在、発表会や試験に向けてバッハの無伴奏に取り組んでいる方が数人います。

自分がバッハの無伴奏のバッハに取り組んだのは確か高校1年か中学3年ごろのこと・・・。

当時は右も左も分からない中弾いておりました。

ヴァイオリンを始めると、左手で押さえて、右手で擦って1本の弦を弾くことを最初に覚えますよね。

しかし、実際には左手で複数の弦を押さえて、一本の弦を弾く、ことはとても多いもので、また導入初期の段階でそれを覚えるべきなのですが、そう習わない場合も多い・・・。

そうするとバッハの無伴奏はとっても大変です。

同時に複数の弦を押さえて、それを同時に鳴らしたり、一本だけ残したり、1本は持続しながら、かつもう1本は切りながら・・・

そして忘れてはいけないのは複数の声部があること・・・これをピアノの場合は右手左手の区別だったり指の区別だそうですが、ヴァイオリンはそうもいきません。

音の作り方・・・左手の締め具合やヴィヴラートと右手の加減が全てです。

ところで、多声部の曲、あるいはアコード(重音)が登場する曲の場合に物理的、テクニック上大事なことが何かといえば、指を置き換える順序です。

かならず、ヒントになる、あるいは根拠になる、基準になる直前の指、あるいは確実なフォームがあります。

どういう順序で指を置き換えて、重音の押さえる指を変化させていくか・・・原則に立ち返ります。

左手が用意できてから音を出す。

スローモーションのように、全部の順序を細かく考えます。

これを考える癖がつくと、意識的な動作から無意識な動作へ、自然でスムーズな動作へ自分の頭の中と動作が整理されていくはず。

何より、和声や調について感覚が研ぎ澄ませられる無伴奏のバッハは教材としても幸福です。

ソルフェージュの訓練ももちろん大切ですが、その時間に見える景色が断然バッハは綺麗です。

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