こうして無事に(?)羽田までのフライトを過ごせるのかと思っていたがそこはLCC、最後の最後にやってくれた。到着まで約1時間と迫り、機長が機内アナウンスを終えた頃、CAの方々がゴミなどの回収を始めた。前述のカップラーメンの空き容器は足元にあるし、自分とは無縁の儀式だと思っていた矢先にCAの一人が僕の毛布を取り上げようとする。この時点でこれを回収することで着陸過程に一体どんなメリットがあるのか全く解せない。携帯電話や他の電子デバイスの電源を切れ、というのであればもう少し科学的な根拠もあるような気がする(これには諸説あり、米国の航空会社の中にはこれを廃止したところもあるらしい)が、毛布はどうなのか。着陸後の清掃作業時間が短縮されるといえばそれ自体に異論はないが、それはつまりカスタマーサービスよりも航空会社運営の効率性を優先している、と乗客に伝えることにほかならないのでは。しかしLCCとはそんなものだ。ここでその意味をCAの方に対して滔々と説いても何の意味もない。結局また凍える思いをして最後の1時間を過ごした。
民間航空会社の飛行高度は約30,000フィート、もしくは9,000メートルであり、外気温はセ氏にしてマイナス45度ほどになる。窓際の席だったわけだが、壁に寄りかかるとその極寒の空気を直接肌で触れているような感覚に陥るほど今回のフライトは寒かった。英語には節約するために色々な部分を削る、という意味でCut cornersという表現がある。今回の機体はまさにそれを地で行くものだった。真冬を少し過ぎた日本に降り立つのに「それでもこの機内に居るよりはよっぽどマシだ」と思いながら着陸を待った。
続く
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