モチベーションの高め方:YutaTanakaSound

Weekly Topic: My ways of increasing motivation

YTS

そもそもモチベーションとは何でしょうか?定義してみましょう。日本語では「動機」でしょうか。その中でもこのコラムでは継続しないといけないことで、ある程度難しくて努力をしないといけない事柄に対して話します。モチベーションが必要になるのは、理性でもってやりたいと思っているけど本能はそれに反応していないし、必要だとも思っていないといった状態です。そこに理性と本能のギャップがありますね。一方食べること、寝ることや携帯をいじることにモチベーションは必要ありません。これらはおおかた本能に従って無意識にしていることです。

これから話すことは結果の出し方でも勝ち方でもありません。純粋に、自分のやりたいことをどうやったら続けられるかという話です。

‐モチベーションが下がる原因
モチベーションは高いに越したことはありませんが、一番重要なのはある水準以下(辞めてしまう領域)まで低下させないようにすることです。ではモチベーションはなぜ下がるのでしょうか。

[まず自己の中での話]
-モチベーションは時間の経過と共に自然に落ちていく。
まず理性が何かをやりたいと始めに思うわけですが、そこにはきっかけとなる動機があるはずです。英語の勉強であれば「海外旅行をしたい」「外国人とも話せるようになりたい」「仕事で必要」など様々なきっかけがあるでしょうし、音楽であれば「あんな風に音楽を奏でたい」「音楽が好きで、もっと触れていたい」「友達に誘われて」などなど。
きっかけが新鮮であるうちは動機が比較的高い状態で留まりますが、その初動の動機は時間の経過と共に薄れていきます。つまり最初が一番高モチベーションで、その後急激に落ちていきます。

-Learning curve
新しいことを始めるとlearning curveというものにぶつかります。始めたては全てが未知ですので、学ぶことが非常に多い期間になります。それでも始めたては初動のモチベーションが高いので、それが勝れば多少の難でも乗り越えることができます。すると初期の伸び率は非常に高いものとなります。

そこまではいいのですが、その後に落とし穴があります。ある程度経験と知識を積んで初期を抜け出し、中期に入るとlearning curveの傾斜が緩んで、始めほど難易度を感じなくなるかもしれません。それでも初動の高かったモチベーションが自然と落ちてきます。その結果中期の伸び率が初期にくらべて停滞してきます。そこがモチベーションの低下をさらに加速させます。

-プロセス主義
この中期のモチベーションの低下とどう向き合うかが重要です。そこで私が提唱するのは「プロセス主義」です。伸び率が落ちてきてモチベーションを失ってしまうのは、自分はこれくらいの期間でこれくらい成長したいと期待しているからです。成長という結果を追い求めているので、それが自分の期待に見合わないと鬱憤が溜まります。
そうではなくて、英語の勉強でも音楽でも同じですが、日々の勉強、練習、課題などのセッションそのもの(プロセス)に喜びを求めるようにすると結果を追い求めなくて済むようになります。ほんの少しづつでもいいから頑張って新しいことを発見すること。それ自体が楽しいという状態になれば理想的です。「結果を出したい」ではなくて「知りたい」という自分の欲求を満たすようにするのです。

[他人との関係でのお話]
プロセスにやりがいを見つけられるようになれば中期のモチベーション危機を乗り越え、安定期に入ることが出来ます。それでもまだ別の危機があります。ここまでは話が自己の中で完結していましたが、他人との関係の中で自己のモチベーションがこれまた揺さぶられます。理由は単純で、「比較」してしまうからです。自分と他人の出来具合の違いや自分自身の評価と他人からの評価のずれなどが強力にモチベ―ションを削いできます。

どうしたらいいのでしょうか。一つは徹底的に「比較しない」ことを貫くことでしょう。 相当な精神力が問われますが、上記のような他人との比較をせず、あくまで自分の世界での日々の新しい発見とその喜びに注力するのです。

かといって他人との接触を絶ってしまうのは良くありません。人間は他人との関わりの中でやり方次第で自分の潜在能力を引き出すことができると私は考えています。他人をいい形で自分のプロセスに巻き込むのは得策です。日々の発見をひとと共有することや、一緒にプロジェクトに取り組むこと、あるいは教えを乞うたり、逆に教えてあげたりすることでより楽しくなります。このあたりでCafeTalkが有効活用できることがわかると思います。

-絶対的な動機
さてここまでくると絶対的な安定期に入り、モチベーションが落ちる危険性はだいぶ収まります。そして、「このまま死ぬまで努力し続けて、発見し続けるんだろうな」という感覚を持ちます。この状態では自分と、取り組んでいる内容との関係には他人も目標も介在せず、絶対的なものとなります。一番初動の動機であった、「あんな風になりたい」といった動機は相対的なものです。自分を「あんな風に」というイメージに投射しているので、いざそのイメージに自分がなんとなく当てはまるようになった時点で絶対的な動機を持ち合わせていなければ、そこでモチベーションが失せ、活動は終わってしまいます。なので初動の動機は過程の中で絶対的な動機に昇華させないといけないのです。


といろいろと書きましたが、大事な部分は
-モチベーションは自然と低下する
-日々のプロセス(発見)に喜びを覚える
-他人と自分を比較しない

の3点でしょうか。でもそれすらも忘れてしまっても構いません。モチベーションが落ちて辞めてしまっても、またきっかけがあれば再開できます。自分で、自分のためにやっていることなので、自分のペースで進めればいいわけですね。ちなみに私は音楽にだけは絶対的な動機を持っていますが、それ以外にもたくさんやりたいことがありまして、それらはまだまだモチベーションが上下している状態です。
This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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