「彼は口が軽いから信用できない。」
「あの人は口が軽いから知らせないで。」
「口が軽い」ってどういう意味か、わかりますか?
「口が軽い」のような表現のことを「慣用句(かんようく)」と言います。慣用句は2つ以上の言葉が組み合わさって、特別な意味を表します。そのため、一つ一つの語の意味を知っていても全体の意味が理解できないことがあります。「口」と「軽い」という言葉の意味はわかるのだけど、「口が軽い」とはどういう意味かわからない。このようなことが起こるのです。
今回は、上級レベルの日本語を身につけたいと思っている方に慣用句を学ぶ必要性を解説したいと思います。
1.新聞や論説文など難しい文章には慣用句がいっぱい
日本語の難しい文章を読んだり、テレビなどで政治や経済について議論している日本語を聞いたりしていると、たくさんの慣用句が使われていることに気づきます。「野党は政策的な議論を脇に置いて、揚げ足を取るようなことばかり言っている」「今回ばかりは国も重い腰を上げて改革に取り組んでいる」このような表現を皆さんも聞いたことがあるかもしれません。「揚げ足を取る」とは、相手の発言の不適切さや表面上のことを非難したり、からかったりする意味で、「重い腰を上げる」とは、これまでなかなか行動を起こさなかった人がやっと取り組み始める様子を意味します。自分の言いたいことを比喩的(ひゆてき、figurative)に理解させようとする表現で、知っていると大変便利なのですが、日本語が母語ではない人にとっては悩みの種です。また、日本語母語話者でも論説文などに慣れていない人はこのような慣用句を理解できない人もいます。大学の講義や政治家の答弁を理解しにくい原因の一つにもなっているのではないかと思います。
2.日本語の慣用句は日本の文化を反映している
「口が軽い」のような体の一部を表す言葉を使った慣用句はさまざまな言語に存在します。たとえば、英語で“have a big mouth”と言えば、「おしゃべりで秘密を守れない人」という意味になります。日本語では「軽い口」と表現するのに対して、英語では「大きい口」と表現するのです。日本語で「大口(おおぐち)を叩く(たたく)」という表現がありますが、「大げさな言い方をする」あるいは「偉そうなことを言う」という意味になります。人が口を大きく開く様子にどのようなイメージを持つかは文化によって異なります。慣用句は人の持つイメージと結びついて、そのイメージにたとえて表現するものなので、異なる文化的背景を持つ人には同じものを連想することができない場合があります。そういう意味で慣用句は言語の背景にある文化を反映していると言えます。
難しいけど、面白い。一度覚えると、便利に使える。そんな慣用句をあなたも学んでみませんか。
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