古文を読んでいると、「え、この“彼”って誰のこと?」「今、誰が何をしているの?」と混乱することはありませんか?
古文に苦手意識を持っている生徒の多くが引っかかるポイントの一つが、登場人物の整理です。
現代文と違って古文では主語が省略されることが多く、視点の切り替わりも頻繁。人間関係が複雑になると、「誰が何をしているか」がわかりづらくなります。
ですが、逆に言えば――
登場人物の立場や性格、関係性を整理しておくだけで、古文の読解は驚くほどスムーズになります。
今回は、古文(そして漢文)を読むときに役立つ「人物整理の勉強法」について、具体的なステップや活用法をご紹介していきます。
◆なぜ「人物整理」がカギになるのか?
古文の文章は、主語や目的語が省略されがちです。たとえば、「泣きたまふ。」とだけ書かれていても、誰が泣いているのかは文脈から読み取らなければなりません。
こうした省略に対応するには、**「この場面では誰が主役で、どんな立場なのか」**をつかむ必要があります。
つまり、単に文法を知っているだけでは不十分で、登場人物の性格や行動パターンを理解しながら読んでいく力が問われるのです。
この読解力を身につけるためには、「登場人物を見える形で整理する」勉強が効果的です。
◆登場人物を整理する3つのステップ
古文をスッキリ読みこなすための勉強法を、3段階に分けてご紹介します。
ステップ①:人物ごとの「キャラ設定ノート」を作る
まずは、有名作品を題材にして、登場人物ごとの「キャラ設定」をまとめてみましょう。
このように、「誰がどんな性格で、どんな場面でどう動くか」が見えてくると、省略された主語を補いながら文を理解できるようになります。
ステップ②:場面ごとに「関係図」を書いてみる
物語が進むと、人間関係はどんどん変化します。そこで、場面ごとに関係図を描いておくと頭の中が整理しやすくなります。
矢印や吹き出しを使って、
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誰が誰に好意を持っているのか
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敵対しているのは誰か
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主従・身分関係はどうなっているか
といった情報を視覚的にまとめると、登場人物の行動や発言の意味も理解しやすくなります。
例:「若紫の巻」の場合
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光源氏 → 若紫(守りたい・育てたい)
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乳母 → 若紫(親のような立場)
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光源氏 ↔ 乳母(交渉・説得する関係)
頭の中だけで把握するのではなく、紙に書き出すことで関係の変化が明確に見えるようになります。
ステップ③:本文に「主語メモ」を書き込みながら読む
本文を読む際には、主語や視点の変化があるたびに、メモや印をつけながら読むのがおすすめです。
たとえば、
「かくて、御車入る。御簾少し上げて、覗きたまふに……」
といった場面では、「誰が御簾を上げたのか」「誰が覗いたのか」が文面だけでははっきりしません。
ここで、
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【光源氏が車で登場】
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【光源氏が御簾を上げる】
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【光源氏が中を覗く】
といったように、簡単な主語メモを入れながら読むと、人物の動きがはっきり見えてきます。
こうしたメモ書きは、読みの精度を高めるだけでなく、記述問題や設問での解答根拠にもつながります。
◆入試問題での活用法
登場人物の整理は、入試本番でも非常に役立ちます。
▽大学入試の記述問題では?
「この人物がこのように考えた理由を答えなさい」といった記述式問題では、人物の立場や心理を読み解く力が求められます。
そのため、人物整理をしておくことで、「どうしてその人物がその行動を取ったのか?」という問いに、根拠をもって答えることができます。
▽高校入試の選択肢問題では?
高校入試では、主語や視点の混乱によって誤答を選んでしまうケースが多いです。
誰が発言しているのか、誰に対して言っているのかを正確に把握できていれば、選択肢を的確に絞り込むことができます。
◆漢文にも応用できる!
登場人物の整理は古文だけでなく、漢文の読解にも非常に有効です。
たとえば、『論語』や『史記』では、孔子・弟子・諸侯など複数の人物が登場し、主語が明示されないまま会話や行動が展開されます。
ここでも、
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「孔子=教える人」
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「弟子=尋ねる人」
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「王=命じる人」
といった基本の役割を押さえながら読むことで、文脈の理解がぐっと深まります。
◆保護者の方にできるサポート
古文の勉強というと難しく感じるかもしれませんが、「登場人物を整理する」という視点を取り入れると、家庭でも取り組みやすくなります。
たとえば、
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「今日はどんな人物が出てきたの?」と声をかける
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ノートの人物整理メモを一緒に確認してあげる
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登場人物になりきって音読してみる
など、親子で一緒に楽しみながら学べる機会を作ることができます。
**古文は人間関係のドラマでもあります。**人物の感情や行動を通して「人を読む力」を育てるという意味でも、受験対策以上の価値があります。
◆まとめ:人物の整理が読解の決め手
古文を読むときの最大のポイントは、「誰が何をしたのか」を見失わないこと。
そのためには、登場人物の役割・性格・関係性をあらかじめ整理しておくことが近道です。
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キャラ設定ノートを作る
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関係図で場面を可視化する
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主語や視点をメモしながら読む
この3ステップを取り入れれば、古文が「難しい文章」から「一つの物語」として見えてくるはずです。
入試対策としても、そして将来の読解力アップのためにも、今日からぜひ始めてみてください。
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