小論文に取り組んでいると、最初の一文がなかなか書けずにペンが止まってしまうこと、ありませんか?
とくに「書き出しが思いつかない」という悩みは、受験生の多くが直面する問題の一つです。
序論は、小論文の“顔”ともいえるパート。どんな問題意識を持ってテーマに向き合っているのか、そして自分の主張がどのような方向に展開していくのかを、読み手に伝える重要な役割を果たします。
テンプレート(書き方の型)を使えば、ある程度は形になります。けれども、それだけでは「平均点止まり」の文章になってしまう可能性も。大切なのは、テンプレをどう活かし、他の受験生と差をつけるかです。
この記事では、基本の書き出し構成とともに、「より伝わる序論」を作るためのポイントを丁寧に解説していきます。受験を控える高校生や、子どもの学習を支えたい保護者の方にも役立つ内容です。
まず知っておきたい:序論の立ち位置
小論文の基本的な構成は以下の3つのパートから成り立っています。
小論文の基本構成
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序論(問題提起・意見の方向性)
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本論(主張の根拠・事例の展開)
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結論(意見のまとめ・将来の展望)
この中で、序論は読み手に「この文章は何について論じるのか」「どんな立場で述べていくのか」を明確に伝えるための導入部です。
つまり、ここが曖昧だったり弱々しかったりすると、いくら本論で説得力のある主張を展開しても、最初の印象で損をしてしまうことになります。
「書き出しの型」をうまく使うためのベース
まずは、初心者でも使いやすいオーソドックスなテンプレートを見ておきましょう。
■スタンダードな序論パターン
近年、○○という問題が注目されている。
一方で、〜という意見も見られるが、私は〜であるべきだと考える。
その理由は〜だからだ。
この型を使えば、テーマに対する問題意識・自分の主張・その根拠までがスムーズに示せます。
例えば、「若者の政治参加」がテーマであれば、以下のような序論になります。
若者の政治への関心の低さが、社会的な課題として取り上げられている。
投票年齢の引き下げなどで参加の機会は増えているものの、私は教育現場での主権者教育をさらに充実させる必要があると考える。
なぜなら、政治を身近なものとして捉える力は、早い段階での学びを通じて養われるからである。
このように、冒頭でしっかりと問題意識を提示し、立場を明確に示せば、読み手に安心感を与える序論になります。
テンプレを“光らせる”ための3つのアレンジ法
ただし、テンプレート通りの文面だけでは、どうしても没個性的になりがちです。そこで、次に紹介する3つのコツを使えば、あなたの序論に深みと説得力が加わります。
① 冒頭に具体性をもたせる
「近年〜が問題になっている」だけでは、少しぼんやりした印象になります。そこで、数字や事例、具体的な出来事を冒頭に加えることで、一気にリアリティが生まれます。
例:
日本の出生数は2023年時点で過去最少を記録し、80万人を下回った。
このような少子化の進行は、将来的な社会保障制度への影響も大きく、深刻な問題となっている。
“事実”を起点に書き出すことで、文章に客観性と説得力が加わります。
② あえて反対意見を先に出すことでバランス感を演出
「たしかに〜だが、私は〜」という構文は頻出ですが、ただの否定で終わらないように注意が必要です。読み手が「なるほど」と思える視点を盛り込むのがコツです。
悪い例:
たしかに補助金は重要だが、それだけではダメだ。
よりよい例:
補助金の拡充は短期的な効果を持つが、根本的な行動変容にはつながりにくいと考える。
こういった「視点の違い」や「長期と短期の対比」などがあると、思考の深さが伝わります。
③ 理由は簡潔に、かつ核心を突く言い回しで
序論では、理由を長々と書かないのが鉄則。1文で端的に主張を支える根拠を提示しましょう。
悪い例:
なぜなら、色々な要素があって、問題が複雑だからだ。
改善例:
なぜなら、根本的な制度の見直しがなければ、問題は繰り返されるからだ。
読者が「なるほど」と納得できる“納得感のある一文”を目指しましょう。
よくあるミスとその回避法
続いて、受験生が序論でやりがちなミスと、それに対する修正のアドバイスをまとめておきます。
ミス① 抽象表現が多くて伝わりにくい
現代社会には多くの課題がある。
→ どの課題?という疑問が湧きます。テーマに即した具体的な語句を使うことが重要です。
ミス② 立場をはっきり示さない
両方の意見に一理あると思う。
→ 小論文では中立ではなく、自分の意見を明確にすることが求められます。
ミス③ 口語・曖昧表現の多用
〜じゃないかなと思います。
→ 論文としての形式を意識し、「〜と考える」「〜である」など、論理的な言い切りの文体で統一しましょう。
序論が決まれば、その後の展開もスムーズに
小論文の書き出しが決まれば、不思議とそのあとの本論や結論の流れも自然に見えてきます。
つまり、序論は全体の設計図の起点なのです。
最初に「何を」「どんな立場で」述べるのかを整理しておけば、迷わず論旨を展開できます。
おわりに:テンプレ+ひと工夫で“伝わる文章”をつくる
小論文の序論では、型を覚えることが第一歩ですが、それだけでは他の受験生との差はつきません。
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実例や数字を入れて現実感を持たせる
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反対意見の扱いに深みを出す
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理由を端的にまとめて論理性を出す
これらのポイントを意識するだけで、文章の完成度は一段と高まります。
読み手の心に残る序論を目指して、日々の練習に取り入れてみてください。
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