共通テスト現代文は、「文章自体は読めるのに点数が安定しない」という悩みを抱える受験生が非常に多い科目です。模試によっては7割を超えるのに、本番形式では急に5割前後に落ち込んでしまう…。これは決して珍しいことではありません。
ではなぜ、現代文は“実力”があるはずなのに“得点”へと安定して結びつかないのでしょうか?
その最大の理由は、「読めているつもり」と「問題を解く作業」が別物だからです。
読解力があっても、出題者の求める基準に沿って情報処理できなければ、得点には結びつきません。
この記事では、共通テスト現代文で「実力と得点が一致する」ための具体的な対策を、思考プロセスから問題演習の方法まで徹底的に解説します。
■ 1.「実力はあるのに点が取れない」状態の正体
現代文の安定した高得点には、以下の3つの力が揃う必要があります。
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内容理解力(文章を正しく読める力)
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言語化力(理解した内容を整理し、因果・対比などで説明できる力)
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選択肢処理力(正しい選択肢を“排除方式”で選び抜く力)
多くの受験生は①の「内容理解力」はある程度備わっています。
問題は②③が不足しているため、理解しているのに点が落ちるのです。
特に共通テストでは、
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選択肢が長い
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細部まで厳密さが要求される
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“違う部分を1か所”仕込んでくる
といった特徴があります。
つまり、「文章を読めた」だけでは点数は取れないのです。
■ 2.得点が安定する受験生の共通点
実力と得点を一致させる受験生には、次の特徴があります。
●(1)本文の構造を意識して読んでいる
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具体 → 抽象
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例示 → 主張
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対立軸
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因果関係
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結論の位置(最終段落 or 冒頭)
これらを常に意識しているため、「筆者が何を言いたいのか」が整理された状態で選択肢に進みます。
●(2)選択肢を“選ぶ”のではなく“消す”
正解を探すより、誤りを消す方が簡単です。
得点が安定する受験生は、
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「本文にないことを言っている」
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「筆者の主張を強めている/弱めている」
-
「言い換えがずれている」
など“ズレ”に敏感。
●(3)文章の要点を“言語化”する癖がついている
ただ読むのではなく、
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「つまり〇〇」
-
「要するに△△」
-
「筆者は ×× と主張したい」
と口に出さずとも頭の中で要点をまとめながら読みます。
■ 3.得点を安定させるための「読解プロセス」
「何となく読む」から脱却し、機械的に再現できる読解へ変える必要があります。
以下に、点が安定する読み方の手順を示します。
① 文章の全体構造をつかむ
特に評論では、段落ごとに役割があります。
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第1段落:問題提起
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中盤:具体例・議論の展開
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最終段落:結論
この基本構造に当てはめながら読むことで、筆者の主張が見失いにくくなります。
② 重要な「接続語」「抽象語」に注目
共通テストは、文章の“流れ”=論理性が重要です。
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「しかし」「だが」「ところが」:逆接=重要ポイント
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「つまり」「要するに」:まとめ=主張
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「たとえば」「具体的には」:例示=根拠
これらをマーカーを引くように読むことで、主張と根拠が明確になります。
③ 段落ごとに「一言で要約」
・この段落の目的は?
・筆者が伝えたい“ひと言”は?
この作業だけで文章の地図が頭にできます。
④ 設問を先に確認して「読む時のアンテナ」を立てる
共通テストでは、
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指示語問題
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例示の役割
-
筆者の主張の要点
-
抽象文の言い換え
など、典型的なパターンがあります。
設問を先に見ることで、読むときに
「この表現、問題に出そうだな」
とアンテナが立ち、読み方が変わります。
■ 4.選択肢処理の極意:誤りを“1か所”探す
共通テストの選択肢は、
「本文にほぼ沿っているが、1点だけズレている」
という形で誤答を作っています。
だからこそ大切なのは、
“正しい部分”に惑わされず、“1つのズレ”を特定すること。
以下がズレの典型例です。
●(1)本文より極端な表現になる
本文:
「必ずしも~~とは限らない」
誤答:
「~~ではない」
本文:
「重要な一面がある」
誤答:
「決定的である」
●(2)言い換えが不正確
本文:
「AがBの前提になる」
誤答:
「AがBを生み出す原因である」
●(3)順序が逆
本文:「理由 → 結論」
誤答:「結論 → 理由」
●(4)話題がすり替わっている
本文:
“個人の内面の変化”
誤答:
“社会制度の変化”
■ 5.「実力と得点を一致させる」ための練習法
ここからは、最も重要で再現性の高い勉強法を紹介します。
① 解いた後「本文 → 解答 → 正答根拠」を3点セットで確認
ただ丸つけをするだけでは成績は伸びません。
大切なのは以下の手順です。
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なぜその選択肢を選んだか言語化
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本文のどこが根拠か確認
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誤答はどこが“ズレている”かチェック
これを繰り返すと、選択肢のクセが見えてきます。
② 「要約」を習慣にする
共通テストの評論で問われるのは、
抽象的な議論をどれだけ丁寧に言い換えられるか
です。
段落ごとの一文要約 → 全体の三文要約
この練習は効果が絶大です。
③ 本番形式の演習は必ず“時間設定”する
現代文は時間制限が得点に大きく影響します。
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文章構造をつかむ
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選択肢を処理する
この2つを25~30分以内に行う必要があります。
制限時間の中で繰り返すことで、脳が“試験モード”を学習します。
④ 「本文と選択肢を行き来する目」を鍛える
得点が安定しない生徒は、
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本文だけ読む
-
選択肢だけ読む
という“片方読み”になっていることが多いです。
本文の該当箇所に戻ることを習慣化し、
「本文 → 選択肢 → 本文」
の往復を素早く行えるようにします。
■ 6.保護者の方へのアドバイス
現代文は、英語や数学と違って家庭学習が目に見えにくい科目です。
しかし、
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文章の要点を言語化できるか
-
なぜその選択肢を選んだか説明できるか
これが安定してできるようになると、得点も必ず安定します。
共通テスト現代文の勉強は「センス」ではなく、
論理的思考のトレーニングです。
■ まとめ
共通テスト現代文で「読む力」と「解く力」を一致させるには、以下の3点が必須です。
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構造をつかんで読む(抽象・具体/対立/因果)
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選択肢の“ズレ”を見抜く(排除方式)
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本文→選択肢→本文の往復と、要点の言語化
この3つを習慣化すれば、現代文は必ず安定し、7〜8割は“実力どおり”に取れるようになります。
そして9割以上を目指す受験生にとっても、これらの方法は不可欠です。
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