こんにちは、Junです。中国語、広東語、日本語、英語が話せる語学講師です。
前回は、YCTとHSKの違いや、小中学生が中国語の検定試験を受ける際に、どのようなことを大切にしたらよいかについてご紹介しました。
今回は、前回の最後にお伝えしたとおり、小中学生の中国語学習という視点から、HSKと今後の対策についてご紹介したいと思います。
まず、受験を考えている方へ
HSK3.0は、2026年から各国・地域で少しずつ導入・試行が進められています。
現在は旧版のHSK2.0も並行して実施されているため、受験する時期や地域によって、試験の内容が異なる場合があります。
これからHSKの受験を考えている方は、申し込み前に、お住まいの地域の試験実施機関で最新の情報を確認することをおすすめします。
では、今回は、HSK1級・2級を中心に、HSK3.0で何が変わるのか、そしてこれからどのように準備していけばよいのかを、私なりに整理してみたいと思います。
① HSKは「6級」から「9級」へ
これまでのHSKは、1級から6級までの6段階でした。
HSK3.0では、「3等9級」という新しい仕組みに変わります。
- 初等:1~3級
- 中等:4~6級
- 高等:7~9級
という3つの段階です。
また、HSK3級以上では、対応する口語試験も受験する形になります。
これまでのHSKでは、筆記試験とHSKK(口語試験)は基本的に別の試験でした。
HSK3.0では、「中国語を知っている」だけでなく、「実際に使える」こともより重視する方向になっています。
小中学生にとっては、まず1級・2級が身近な目標になると思いますが、今後さらに上を目指す場合には、この変化も知っておきたいところです。
② HSK1級・2級はどう変わる?
今回、特に小中学生の保護者の方に知っていただきたいのが、初級レベルの変化です。
一言でいうと、「覚える単語が増え、問題も少し実践的になった」
というイメージです。
2.1 単語数が増えました
旧版のHSK2.0とHSK3.0を比べると、必要とされる語彙数は次のように変わります。
- HSK1級は150語から300語へ、HSK2級は300語から500語へ。
初級の段階でも、以前よりしっかり語彙を身につける必要があります。
文法項目も増えていて、
- HSK1級は40個から70個へ、HSK2級は93 個から148個へ
となっています。
ただ、全体を見ると、文法以上に語彙の増加が大きいことが分かります。
ここで、少し面白い比較があります。
中国の小学校では、6年生までに約3000字を認識し、そのうち約2500字を書けることが学習目標の一つになっています。
一方、日本の小学校で学ぶ漢字は6年間で1026字です。
もちろん、HSKの「語彙数」と小学校の「漢字数」は同じものではありません。
それでも、日本の小学生が中国語を学ぶ場合、「漢字は知っているから中国語も簡単そう」と思って始めても、実際には発音や単語、文法などを新しく学ぶ必要があります。
2.2 問題の形式も変わっています
私が個人的に注目しているのが、問題形式の変化です。
例えば、HSK1級のリスニング第2部分。
旧版では、音声を聞いて、写真を見ながら内容が正しいかどうかを判断する問題でした。
新版では、音声を聞いて、内容に合う文章を選ぶ問題に変わっています。
写真を見て判断するだけでなく、聞いた内容と漢字で書かれた文章を結びつける力が必要になります。
つまり、初級の段階から「聞いて分かる」だけでなく、「漢字を見て分かる」という力も大切になってきます。
読解の問題も同じです。
HSK1級の読解第4部分では、旧版の「空欄に入る言葉を選ぶ問題」から、新版では文章を読んで内容を理解する問題へと変わっています。
単語や文法を覚えているかだけではなく、文章の中で中国語を理解する力が、より求められるようになっています。
さらに、HSK2級では、試験時間がこれまでの約55分から約60分になり、書写の問題も加わります。
これまで以上に、「見て分かる」「聞いて分かる」だけでなく、自分で書く力も意識しておく必要がありそうです。
このように見ると、HSK3.0は、単に「覚える単語が増えた」というだけではありません。
初級の段階から、聞く・読む・書く、そして実際に中国語を使う力を、少しずつ身につけていくことが大切になってきたと言えるでしょう。
では、小中学生はどう準備すればいい?
では、これからHSKを目指す小中学生は、どのように準備していけばよいのでしょうか。
私が普段のレッスンで特に大切だと感じているのは、次の4つです。
1.まずは、ピンインの基礎をしっかり身につける
新版の教材では、以前よりピンインを扱う内容が大幅に少なくなっています。
そのため、HSKの勉強を始める前に、まずピンインの基礎をしっかり身につけておくことをおすすめします。
2.基本的な語彙を増やす
先ほどもご紹介したように、HSK3.0では初級の語彙数が大きく増えています。
そのため、まずは日常生活でよく使う基本的な単語を、少しずつ増やしていくことが大切です。
3.単語を覚えるだけで終わらせない
単語を覚えたら、できるだけ文章や実際の場面の中で使ってみる。
例えば、単語を一つ覚えたら、「この言葉を使って自分のことを言ってみる」という練習をしてみます。
単語の意味を知っているだけでなく、「使える」のが大切です。
4.初級から「聞く・話す・読む・書く」をバランスよく
新版の問題を見ても、単語や文法の知識だけではなく、実際に中国語を理解し、使う力がより重視されるようになっています。
そのため、初級のうちから「聞く・話す・読む・書く」の4つを少しずつ経験しておくことをおすすめします。
特に小中学生の場合は、試験のためだけに勉強するのではなく、「中国語を使ってみる」経験を増やしていくことが、これからますます大切になってくると思います。
最後に
HSK3.0への移行によって、初級の中国語学習も少しずつ変わってきています。
小中学生の場合は、試験対策だけを急ぐのではなく、まずはピンインや基本語彙を身につけ、聞く・話す・読む・書く力を少しずつ伸ばしていくことが大切だと思います。
検定は、合格だけを目指すものではなく、今の力を知り、次の目標を見つけるきっかけとして活用してもらえたらと思います。
「うちの子は何級から始めたらいい?」など、中国語学習について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
お子さまに合ったペースで、中国語を楽しく学んでいけたら嬉しいです。
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