日本や欧米のレストランでは、水といえば氷水が当たり前です。冬でも冷たい水を飲む習慣が根付いています。ところが中国人は、夏でも家や店でぬるま湯、お湯を飲む人が多いのです。
この習慣のルーツは中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』にあります。『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも、沸騰させたお湯「太和湯」について記載されています 。

漢方の考え方を分かりやすく説明するとこうなります。
人間の内臓には、きちんと働くための適切な温度があります。内臓が一定の温度を保っている時、消化や代謝がスムーズに動きます。氷水を一気に飲むと、胃の中が急に冷え、内臓の温度が下がってしまいます。体は本来の温度を取り戻すため、余分なエネルギーを消費しなければなりません。内臓が冷えると、働きが鈍くなり、胃腸の不調、体の冷え、だるさにつながりやすいのです。昔の中国の考え方では、この内臓の円滑な活動のことを「気・血の巡り」と呼んでいます。内臓が冷える=気血の巡りが悪くなる、という考えです。

もちろん現代の若い中国人の中には、アイスコーヒーや氷水を楽しむ人も増えてきました。でも「体の内側を冷やしすぎない、温かい水で体を守る」という文化は、今も根強く残っています。特に女性は生理中に温かい紅糖湯(黒砂糖を溶かしたお湯)を飲む習慣があります。また、体調が優れない時や風邪をひいた時など、多くの中国人はお湯を飲んで体をケアします。
中国旅行に行ったとき、ホテルやお店で温かいお茶が出てきてもびっくりしないでください。これこそ中国の文化の一つです。
★中国語ミニ単語
温水(wēn shuǐ):ぬるま湯
热水(rè shuǐ):お湯
冰水(bīng shuǐ):氷水
热红糖水(rè hóng tang shuǐ):黒砂糖を溶かしたお湯
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