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【英語のOSを整える|助動詞編 #2】would は、本当に「will の過去形」なのだろうか

Nao705

学校では、
 
will = 未来
 
would = will の過去形
 
と習います。
 
もちろん、would が、過去の文脈で will に対応する形として使われることはあります。
 
でも、実際の英語を見ていると、「過去形」だけでは、どうも掴みきれない would に何度も出会います。
 
たとえば、会議で意見を求められて、
 
I would say we need more time.
 
と答える。
 
友人から、少し早い時間に会うのはどうかと提案されて、
 
That would be nice.
 
と返す。
 
どちらも、過去の出来事を話しているわけではありません。
 
学校文法では、控えめな意見、仮定的な表現などと説明されます。
 
さらに、
 
Would you mind closing the window?
 
なら、丁寧な依頼。
 
Every summer, we would stay with my grandmother.
 
なら、過去の習慣です。
 
一つの would に、ずいぶんたくさんの用法があります。
 
でも、英語を話している人の中で、would は本当に、いくつもの別の意味に分かれているのでしょうか。
 
私自身が英語を使うとき、これらの would を、別々のものとして選んでいる感じはありません。
 
同じ would が、場面によって、違う日本語に見えている。
 
今回は、その同じものが何なのかを、少し考えてみたいと思います。
 
【will の中にあった「種」】
 
前回は、will を単なる「未来」としてではなく、話し手が、主語の中に、その特徴の種を感じているときに現れる言葉として見てみました。
 
ここでいう種は、発芽するかもしれない可能性が、ただ眠っているという意味ではありません。
 
種である以上、そこから芽が出る。
 
その特徴が、主語自身の中から当然のように表へ現れてくることまで含んだ種です。
 
玄関のチャイムが鳴って、
 
I’ll get it.
 
と言う。
 
心配している人に、
 
He’ll be fine.
 
と言う。
 
まだ、I が玄関へ向かう姿も、he が大丈夫な様子も、表には現れていません。
 
でも話し手には、その特徴がそこから現れてくる根が、主語自身の中にすでにあるように見えています。
 
だから日本語では、一方が「意志」、もう一方が「推測」に聞こえても、英語の中では同じ will です。
 
would にも、この will の感触は残っています。
 
主語の中に、その特徴がそこから現れてくる種が見えている。
 
ただし、その見え方が少し違います。
 
【I would say... が置いているもの】
 
会議で、ある案について意見を求められたとします。
 
Do you think we’re ready to start?
 
少し考えて、こう答えます。
 
I would say we need more time.
 
話し手には、we need more time という判断があります。
 
話し手は、自分がそう言うことを、今ここに確定したものとして、そのまま前へ出してはいません。
 
「私なら、こう言うだろう」
 
という I を、いったんイメージ側に置いて眺めています。
 
そのため、I say... と直接置く場合とは、響きが変わります。
 
日本語では「私としては」「私なら」「私の考えでは」などと、少し控えめに差し出す言い方になります。
 
けれど、would に「控えめ」という意味が、別に付け加わったわけではないのだと思います。
 
【That would be nice. に見えるもの】
 
友人から、
 
We could meet a little earlier.
 
「もう少し早く会ってもいいね」
 
と提案され、
 
That would be nice.
 
と返す。
 
nice へつながるものは、たしかに that の中に見えています。
 
でも、その提案は、まだ実際にそうなったことではありません。
 
話し手は、その案が実現したときの that を、イメージの中に置いています。
 
その像の中では、nice という特徴が自然に現れてくる。
 
だから、That would be nice. と言える。
 
I would say... と That would be nice. は、日本語にすると違う種類の表現に見えます。
 
でも、どちらも、主語の特徴を、今ここにある確かな実在としてではなく、イメージ側に置いて捉えています。
 
そこに、同じ would の感触があるように思います。
 
【場面が違っても、would は同じ】
 
I would say... では、話し手自身の判断が言葉になります。
 
That would be nice. では、提案されたことを喜んでいます。
 
二つの文で、話し手の気持ちも、主語も、その特徴も違います。
 
それでも、その根拠が、今ここにある明確で確定したものとしては置かれず、主語の特徴がイメージ側で捉えられていることは共通しています。
 
話し手の中で、場面ごとに別の would が選ばれているのではない。
 
同じ would が、まわりの言葉や文脈と重なって、違う響きとして現れているのだと思います。
 
【「丁寧」「仮定」「過去」に分かれる、その手前】
 
would は、文脈によって、控えめな意見、丁寧な依頼、仮定、過去の習慣などと説明されます。
 
こうした名前は、文を整理するときには役に立ちます。
 
ただ、話す人の中で、would が最初から、いくつもの箱に分かれているわけではないのだと思います。
 
主語の中に、その特徴がそこから現れてくる種を感じている。
 
けれど、その根拠を、今ここにある明確なものとしては置かず、主語の特徴をイメージ側で捉えている。
 
その同じ would が、主語や動詞、時の文脈、相手との関係などと重なることで、控えめさ、丁寧さ、仮定、過去の習慣として見えてきます。
 
ただし、
 
would = 不確定なイメージ
 
と、新しい対応表を一つ覚えればよいわけではありません。
 
実際の文の中で、何がイメージ側に置かれているのか。
 
そこに見えている特徴は、主語やほかの言葉と、どのように関わっているのか。
 
それは、文脈によって少しずつ違って見えます。
 
この記事でできるのは、これまで別々に見えていた would を、もう一度眺め直す入口を作ることまでです。
 
I would say we need more time.
 
That would be nice.
 
Would you mind closing the window?
 
Every summer, we would stay with my grandmother.
 
日本語では違う名前で呼ばれる文の中に、同じ would がある。
 
まずはそのことを感じながら、実際の英語に出会ってみる。
 
すると、これまで暗記していた用法の間に、少しずつつながりが見えてくるかもしれません。
 
次回は、can について考えてみたいと思います。
 
can は、本当に、ただ「できる」という意味なのでしょうか。
 
【前回の「英語のOSを整える|助動詞編」】
 
← will は、本当に「未来」なのだろうか
https://cafetalk.com/column/read/?id=338945&lang=ja
 
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プロフィール
 
英語講師のNaoです。日本育ちのまま英語を習得し、TOEIC990点取得(複数回)。20年以上、たくさんの学習者を見ながら、「なぜ話せないのか」「何が効くのか」を観察し続けてきました。そのなかでたどり着いたのが、処理構造そのものを整えるというアプローチです。英語を自立して吸収できる土台が整うと、英語は、先生がいなくても育ち続けるものになっていく。レッスンでは、そんな土台づくりを一緒にしています。
 
このテーマについて、少しずつ続きを書いていく予定です。
 
同じ内容をnoteでも公開しています。
https://note.com/noted_egret1800
 
日本語コラムと合わせて、英語での発信(Substack)も少しずつ増やしています。
https://nao705.substack.com/
 
▼ 気になった方へ
もし、この記事を読んで、これまで別々に覚えていた would が少しつながって見えたなら、この見方は、今のあなたの英語に合う入口なのかもしれません。
 
レッスンでは、実際の文の中でどんな像や根拠を捉えているのかを、その方の疑問や英語に合わせながら、一緒に確かめていきます。
 
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