楽譜の中には"con sordino"とか"senza sordino"という指示があります。
それぞれ「弱音器をつかって」、「弱音器をつかわないで」という意味ですね。
練習用の弱音器(ミュート)とちがって、音色を変えるためのものです。
弦の振動を楽器のボディに伝える駒(ブリッジ)に重さや締め付けを行います。
つまり客席には伝わらないまでも、音色は案外違います。
客席にわかんないならしょうがないじゃん!と思いがちですが、お客様にわかるわからないの前に、自分が気持ちよく弾ける環境というのは大切だと思います。
が、しかし、音色だけではなくて、取り付け取り外しなどの使い勝手もあります。
自分が持っているのは「ローゼン」「トルテ・ワンホール」「E.R.VOIGT & SON」です。
それぞれゴムと金具、合成ゴム、本革です。
ローゼンはあまり見かけないかもしれませんが、大学時代自分の先生が愛用されていて、付ける時も外す時もピタッと止まるので感動しました。
「E.R.VOIGT & SON」はあいにくもうかなり昔に絶版ですが、Milsteinが最後のリサイタルまで愛用していた素晴らしい音色のミュートです。「これ探してるんですよね〜」とぼやき続けていたら、以前の生徒さんがイギリスでVoigtさんと知り合いだったらしく、2つも!わけてもらってきてくれました。
自分の楽器の駒に合わせて刻み、ニスを塗る必要があります。
この形のミュートは取り付け取り外しには譜面台か、ポケットにしのばせるものなので、せわしなく取り付け取り外しがあるときは大変ですが、それでも素晴らしい音色。
いいミュートは耳が疲れた時の練習にも役立ちますよ!