深海魚は水面に恋い焦がれる。いつかはトビウオのように輝きたい、と。
赤点の最下位層から脱出したが、問題は沢山あった。
定期テスト赤点脱出は付け焼き刃。実力ではないのだ。
高3夏、模試で見事に撃沈した。
深海魚には鋭いキバも硬いウロコもなかった。
「模試」という海に出た瞬間、他の魚影にビビってしまう。
そう、例えるなら飼育された金魚なのだ。
進学校という狭い水槽の底を泳いでいた金魚。塩辛い海水は身体にしみる。
国語、数学、英語。どれも60点/200点。
約分して30点/100点。模試の結果は赤点レベルだった。
物理にいたっては過去最低点0点/100点を記録した。
マーク模試なので、どれか適当に塗ればどれか当たるだろうに、0点。
高3夏、三者面談があった。
先生は死刑宣告をした。「このままだと工学部夜間も無理だよ」
当時の私は工学部材料系学科志望だった。もちろん昼間だ。
バカにするわけではないが、一般的に昼間より夜間の方が偏差値が低い。
志望大学だけ生意気にも地方国立大学の私は深海に戻された気がした。
(もう深海はコリゴリだ!)
それが1番の原動力になった。
高3夏~冬。全エネルギーを勉強にかけた。
努力は格好悪いなんて言っている場合じゃない。
周りはもう関係ない。自分でどうにかしないと大学に受からないのだ。
もう必死。
物理を0から勉強し直した。
英語の長文をマトモに読み始めた。
化学を極めた。
数学の問題を解きまくった。
漢文の句法をやり直した。
現代社会を勉強した。
高校の冬期講習はサボって図書館で缶詰。
周りに合わせて過去問の解説を受けたところでわかるわけがない。
自分の世界の中でひたすら受験勉強をした。
そして迎える運命のセンター試験。
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